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旧授業百景

「流体力学Ⅰ」

~一見難しそうな流体力学を積極的に学べるように~

2023.01.13

第四十四景は、工学部2年生向けの授業「流体力学Ⅰ」について、機械システム工学科の田川義之先生にお話を伺いました。

流体力学とは、いったいどんな内容なのでしょう。田川先生の研究人生についてはこちらから。

〈プロフィール〉

お名前:田川義之先生

所属学科: 機械システム工学科

研究室: 田川義之研究室

最近の趣味:チェロを弾くこと


流体力学とは?

―流体力学とはどんな授業ですか?

まず、流体力学は一見複雑そうに見える流体現象を少ない数理モデルで表現することを目指して発達してきた学問で、飛行機や新幹線などの乗り物だけでなく、生体・医療・災害・食品などに関わるものです。この科目では、流体運動の「保存則」、流体に働く「力」の性質と数理モデルを詳しく説明し、流れの具体例を数多く取り上げ、流れの特徴と実用的な関係式を示します。

難しい流体力学を分かりやすく

―授業ができるまでの過程とこだわりポイント(伝え方、意識している点)を教えてください。

流体力学は大学で初めて出会う物理学ですので、皆さんが流体現象の特徴を理解できることを第一の目標としています。そのためにまず流体現象の特徴を実感してもらうため、自宅でも可能な流体実験を紹介しています。また教卓でのデモ実験、難しければ実験室での撮影動画や数値シミュレーション結果を講義中に紹介しています。

―具体的にはどのようなことをやるのですか?

例えばコップに水を入れて秤にかけ、その水の中に指を入れたら、秤の目盛りはどう変化するのかというクイズを出題します。身近な現象ですのでイメージがつくと思うのですが、クイズの回答はかなり分かれます。目盛りが変わらないと答える人と、増えると答える人と、減ると答える人に分かれます。実際に授業では教室で自分の指を浸して確かめてもらいます。実際指を浸すと目盛りが増えます。これは浮力が指に働いてるためその反力が下に働くことで目盛りが増えます。答えを知った後だと説明つくのですが、その前に正しく予測するのは意外に難しく、このような事象をできるだけ毎回ミニクイズにして最初に行っています。その後に、その単元に関する直感と反するようなものを見せてから授業をする形式をとっています。流体が難しいというところに囚われるのではなくて、直感と反するところで難しいと感じるのですが、その「難しい」を「面白い」に変えていけたら、流体力学により積極的に取り組むことができると思っています。

―大学の先生って高校の先生と違って研究がメインなイメージがあるのですが、どうしてそんなに丁寧に授業をなさっているのですか?流体は動きが見えないことが一般的には難しいと思われることが多いので、できるだけ実感を持ちながら学習を行うことを意識しています。例えばイルカが泡を出しているのは渦輪と言う流体の現象です。渦輪から渦輪を作るのですが、このような現象とか見ると流体のイメージも変わると思います。これ、面白いなんでだろう?っていうところから流体の特徴について学んだ方が、より意欲的に学ぶことができると思い、このように授業を行っています。

―1学生としてはとてもありがたいです。

―ではその授業に対するモチベーションや楽しさを教えてください。流体力学を楽しみに受講してくれる学生さんが少なくありません。デモ実験を見たときには不思議に見えた現象も、実際に物理的な説明で理解できた時の嬉しそうな表情や、問題が解けた時の晴れやかな姿を見せてもらえると私のモチベーションになります。最近は先端の流体研究にも興味を持ってくれる学生さんがいるため、さらにモチベーションになります。

授業を通じて学生に感じてほしいこと

―授業を通じて学生に感じてほしいことは何ですか?

流体は面白い!と感じてほしいです。面白さには様々な側面がありますが、現象が複雑で制御が簡単ではないからこそ、基礎的理解が非常に有効に働きます。そのエッセンスの妙を感じてもらえたら流体力学Ⅰで感じてほしいことは達成できたと思います。


田川先生の授業百景はここまで!

授業百景第四十四景はいかがでしたでしょうか?

田川先生の今に至るまでの経緯、研究への想いについて詳しく知りたい方は「#44「田川先生」~流体の不思議さと美しさに魅せられて~」も合わせてどうぞ!

文章:あき
インタビュー日時:2022年8月22日
※ 授業の形式等はインタビュー当時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。
※インタビューは感染症に配慮して行っております。