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旧先生大図鑑

中野幸司先生

~見出されて!?~

2020.09.14

中野幸司先生の、今に至るまでの経緯について詳しく教えていただきました。


中野幸司(なかの・こうじ)先生
応用化学科

―続いて、先生のこれまでについてお聞きしたいと思うんですが、修士・博士課程の後から農工大の先生になるまではどのような経緯でしたか? 僕はそもそも、修士で卒業して一般企業に行こうと思ってた。M1の秋くらいに当時指導を受けていた先生(当時は助手)にそのことを伝えたら、「なんでドクター行かへんの?」って言われて。そこから博士課程進学へのキャンペーンが始まったわけ笑。研究室を卒業した先輩から話を聴く機会をいただいたり。同じ部屋にいたD1の先輩や進学予定のM2の先輩にも相談に乗ってもらったかな。でもまあ、どの先輩と話をしても結局「研究楽しくて少しでもドクターに興味あるんやったら行けっ!」っていう話になって笑。で、博士課程に進んで博士1年生から2年生になる時に、指導を受けていた先生(当時は助教授に昇任)が東大に異動するってことになってんけど、「中野君、助手で来て」ってことになって。なので、中退して26歳になる年に助手になった。だから、それがなかったら恐らく普通に博士課程を修了して企業で社会人になってたかな。―そうなんですね(゜゜)!企業に行こうと思ってたんですか? うん。当時は自分が教員として学生に化学を教える姿なんて全く想像してなかったから。それで、助手やりながら博士を取った。論文博士っていうのがあって、博士論文を大学に提出して、それが認められれば博士課程を経由しなくても博士号を取得できる。最近はそういう人って少ないと思うけど、若いうちから助手になって論博(ろんぱく)って先生は結構いる。

業績を貯めたら巣立つ🐤

 東大で助手・助教を10年やって、2012年に農工大に着任。東大の頃に僕がついてたボス(何度も登場している学生時代の指導教員)は若いし、そこにずっといれば昇任できるってものではない。それに、当時所属していた学科では、助教は5年とかの期間で自分の色がついた研究で業績を上げて、外で良いポジション獲得してステップアップしていくっていう雰囲気だったかな。これは、どこの大学でも同じだと思うけど。―いいですね。ちゃんと自分の色がついた研究してっていうのは。 僕がついてたボスは女性なんやけど、僕ら研究室スタッフにかなり自由に研究する機会を与えてくれてた。もちろん、「誰が見ても正にボスの研究」っていうようなボスが主役の研究を僕らも共同で進めるわけやけど、いいアイデアであればボスよりも僕らの色が強いような研究もさせてくれる人だった。その先生とは学生時代から含めると14年くらいご一緒させてもらったかな。―!ボスの方は女性なんですね。かっこいい!その先生に見込まれてたんですね。 と、いうことにしておこう笑。とにかく、この業界に僕がいるのはその先生のおかげ笑。
―笑。研究は…やっぱり楽しいですか? じゃないと今、農工大にいない笑。「研究が楽しかったら、そのままドクター進学したらいいんじゃない?」って言われて実際に進学したように、学生時代から研究はすごく楽しかった。

ニュースじゃないのよ、授業は。

―助手の間は学生に教えたりってことはありましたか? うちの学科でも演習科目は助教の先生とかがやってたりすると思うんだけど、僕が東大にいる間も演習科目とか学生実験とかかな。
―そしたら、学生に教えるっていう期間は17年位ですかね。 そうだね、2002年からやってる。そう考えると長いな笑。助手の時にやってたのは「有機化学演習」という科目で、色んな反応の問題を学生に解いてもらって、それを解説するっていう形。まあ自分で言うのもなんやけど、それも多分分かりやすかったと思う。―あははは笑。 はっはっは笑。それは学生からもちゃんと言われていて。ボスにも言われたかな、「中野君の説明が分かりやすかったって学生が言ってるよ」って。
―つよいですね✨ 先生ご自身は、学生時代に授業を受けていて、どういう風に感じることが多かったですか?分かりやすい先生はいましたか? いた。その先生のおかげで有機化学を好きになったかも知れん。やっぱりね、その先生も話がうまい。話し方か雰囲気?とにかく上手やった。有機化学って一冊のめちゃくちゃ分厚い教科書を大体3~4人で分けて担当してたんやけど、そのうちの一人の先生の授業がおもしろくて、すごい分かりやすかった。関西出身の先生で、芸人さんじゃないけど話が上手くて分かりやすい。何て表現したらいいかな、ニュースじゃないわけよ。語り掛けるというか。―確かに、いわゆる授業ってニュースっぽいですね。 硬い口調のニュースっぽくしゃべったら、聞いている方も退屈で頭に入りづらい気がして。話しかける…話しかけるじゃない、語りかける・・・?漫談??―漫談ですか笑? はっはっは笑。

重厚な教科書を portable に

有機化学の教科書。ページ数は合わせて1716頁(6版)

 これが、有機化学の教科書。この内容を2年半かけて学習する。―ひえ…分厚いですね。農学部でも1年生の時に同じくらい分厚い生物学の教科書があって買ったんですけど、重たくてだれも持ち運ばなくて… 僕が学生の時は切ってた。だってこんなん持って行かれへんやん!学生の時に使ってたのはこれ。切ったやつをまとめてこのファイル4冊分。でも、本を切るなんて、っていう人もいる笑。最近だったら電子書籍の教科書とかも出てきたのかな。そのうち教科書が全部電子書籍になって、タブレット一つで持ち歩けるようになると思うけどね。 ―分割するのはいいですね!なるほど!

分厚くて重たい教科書も分割すれば持ち運びしやすくなる。

 中野先生が有機化学の反応を見たときの頭の中が再現されたスライドを示しつつ、原理原則は言葉で伝えて理解を促す。そして、ニュースではなく話しかけるようにとリラックスした雰囲気で進行するなど、中野先生の「こんだけです」を教えていただけました。メモをしっかり取って、電子のふるまいなど原理原則を理解できれば、広大な有機化学も乗りこなせるはず!

「先生大図鑑」#20 はいかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに!