身近なものから問いかけ &Moodle活用術👀 vol.1
「授業百景」第14回は長岐滋先生の特集です!
長岐先生の授業について、学生からは以下のような部分が授業の魅力として挙げられていました。
【材料力学Ⅰ】
〇moodleの小テストが難しすぎず、簡単すぎない問題であるため、基礎的な能力が身につけられる。
〇板書の文字が大きい。説明がとても分かりやすい。
〇例題を出してくれるため、どんな問題で何をすればよいのか分かる。
〇授業は板書がメイン、授業後はmoodleにて毎週小テストがある。
そんな長岐先生の授業づくりの肝を聴いてきました!
(コーノ以下―)―本日はどうぞよろしくお願い致します。(長岐先生以下 スペース) はい、よろしくお願いします。
―早速ですが、今回選ばれた材料力学の授業について全体的な流れはどのような感じですか? 板書中心でずっと講義ですけど、途中に中間テストと最後に期末試験です。機械システム工学って最終的にはエンジニアとして機械、ものをつくるっていう話をするんですけども。その基礎科目として、昔から言われてるのは3力、あるいは4力です。材料力学、熱力学、流体力学、それから機械力学。4つ目は工業力学とか振動論とかいろいろ言い方あるんですけど、基本的には3つ。昔だったらさらに、設計製図というのが加わって、機械系のベースになります。今は多少違う意見の人もいるとは思うんですけども。
だから、材料力学は機械系の学生さんにとって本当に基本のきの字なので、どうしてもきちんと学んでほしいというのはあります。
―履修している学生は何人ぐらいでしょうか。 材料力学Ⅰは今年は100人前後ですね、ちょっと減りました。材料力学Ⅱもやってるんですけど、そっちは70人ぐらいで、年によってばらつきます。
学生と一緒に回復チャージ
―1コマずつ、90分の時間配分はありますか? 毎回幾つかのテーマに分けてやるっていうくらいで、特に前半で演習をやってというようなことを、時間で決めてるということはないです。ただ、90分授業で45分経ったら、毎回5分質問タイムって言うので、授業を一旦ストップして、質問ある人はどうぞっていう時間を取ってます。
これは、昔、梅田先生*がやってるって聞いて、真似したら学生からも結構好評だったんです。それがちょっと普通の授業とは違うかもしれません。5分間の質問タイムで、休憩したい人は休憩して、トイレ行きたい人は行って、お茶飲んでも何か食べてもいい。私もその時に、お茶飲んでお菓子食べてます。
―先生もお菓子召しあがるんですね(笑)。 うん。もう90分やるとね、体力が持たないから(笑)。チョコレートとか入れて、甘いもの入れて、体力アップしてます。
―いいですね(笑)。体力要りますよね、板書も結構疲れますよね。 疲れます、疲れます。特に夏は汗だくになります、まあクーラー入れますけどね。
身近なもので 例示と問いかけ
―授業はどんなふうに組み立てていかれるんですか? 自分で作った講義ノートに従ってやっていて、教科書は使ってないです。それこそ、20年物というか、同じ科目を教えているんで毎年少しずつ変わったりはしてますけど、基本的に講義ノートをもとに授業を作っているっていう感じですね。授業の2、3日前に見直して板書することを改めて確認しておく。大抵、どこかしら変更するので、結局もういっぺんノートを作るみたいなことになっちゃってますけど。
学生は基本的に板書のみですけど、部分的に補足資料っていうのをつけてます。授業の時に、講義ノートと同じことを説明してるんですけど、なかなか分かりにくいだろうなあ、と思う所に関しては講義ノートを一部取り出して配ります(moodle上で配布)。教科書があればいいんですけど、今は使ってないので。
あと、講義に関する工夫としては、いろんな分かりやすい例題、例示をするっていうことと、問題を実際に黒板で解くということは必ずやるようにしています。
材料力学はとにかく基礎科目で、例えば量子力学や流体力学とか、そういう科目に比べると理論的にはそんなに難しくはないんですよ。なんだけど、やっぱり計算はめんどくさい。あと、機械工学ってそれこそ、何百年も前から研究されてるような話で、その基礎科目ですから、最先端の話がしょっちゅう出てくるわけじゃない。
それで、最初に例示というか問いかけをして、なんでこんなんになるのかね?っていう話で、それの理論的な裏付けをして具体的な問題を解くっていう感じですね。
例えばね、定規は持ってます?
―持ってます! いつもよくやるのが、こう定規があったときに、こうやったらくにゃっと曲がるじゃない。
でもこうやったら、全然曲がらないですね。
これはなんで?っちゅうことをやってるんだけど。
―(゜゜)!…表面積と圧とみたいなことですか?(笑)。 笑。まあいいんだけど(笑)。とにかく、この違いは何に起因するの?っていうのが最初の問いかけですよね。これは結局、断面に関する断面二次モーメントって言う量があって、曲げに関係するんですけど、そういう理論の話をして、あと実際に、これを固定して力をかけた時にどれだけたわみますか?違う方向からだったらどれだけたわみますかっていうのを実際に計算してみるっていうようなことを、一つの授業の中でやるっていう感じですね。
いつもじゃないですけど、できるだけそういうことをしようって思ってます
―そういうことってどうやって思いつくんですか? 笑。やっぱり授業に関心持ってもらうにはどうしたらいいかなって考えるっていうことですよ。で、面白そうな話題を授業の中に含めるっていうことは気を付けてます。他には、例えばどれくらいまで大きな豆腐が作れると思う?とか。
―お豆腐!面白いですね(笑)。 それも別に具体的な答えを要求するような質問ではなくて、要するに問いかけとして、材料力学がこんなことに関係してるんだっていうことに気付いてもらう、気にしてもらうためにそういうのを出来るだけやるようにはしてます。
なかなかね、理論計算、理論誘導、式の誘導とかって計算がいっぱいあるんで(笑)、そういうことばっかしやっとれないんですけど。
―キャッチボールするっていうのも難しいですよね。 うん、100人ですからね。
長岐先生の「授業百景」vol.1はここまで!
続いては、意外と活用されていない??農工大で利用されている学習管理システムMoodleの使い方について詳しく教えてもらいました。
vol.2はこちら!
* 梅田倫弘先生…東京農工大学工学研究科、名誉教授(令和2年度現在)。平成29年度~令和元年度に教育担当の理事をされていた。
※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。
- 長岐滋先生
- 現在はシニアプロフェッサー。機械システム工学科