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旧授業百景

国家試験が待っている。 予習は必須、獣医学の原点から現場の実例まで追体験🐄 vol.1

2020.04.09

第7回はK先生の特集です!

K先生の授業について学生からは、以下のような部分が授業の魅力として挙げられていました。

【獣医衛生学
〇毎回の授業で間違いさがし形式の予習プリントが出て、それをやって授業終わりに答えを書いて出すやり方だったので、予習する習慣がつき、重要なところが分かったし、予習で分からなかったところを重点的に聞くことが出来た。
〇獣医衛生について幅広い知識をもてるような、国家試験にもしっかり対応できるような内容だった。

そんなK先生の授業づくりの肝を聴いてきました!


(コーノ以下―)本日はどうぞよろしくお願い致します。(K先生以下スペース)どうぞよろしくお願いします。

K先生は希望により、イラストでの登場です。イラストは、K先生の居室にあったアフリカ土産のすらりとした木彫キリンがモチーフです!

獣医学部の特質を大前提に

 まず大前提として伝えておきたいのは、獣医学科は他の農学部の授業とは根本的に違うところがあることです。獣医学科は6年制であること、大学ですべて関連科目を習い卒業資格を得た後、獣医師になるためには獣医師国家試験を最後に受けなくてはならない。そのため、獣医学コアカリキュラムが国内の基準で設けられています。だから、それに沿って教えていかないといけない。他の学科だと先生の専門や得意な分野で、結構裁量があると思いますが、獣医学科はそうではない。かつては獣医学科の先生も得意な部分を長く教えるような好き好きでやっていたけど、コアカリキュラムが出来てからそうではなくなった。
―そうなんですね(゜゜)!

 私の授業は一つ特徴があります。それは、農工大で行っている授業アンケートの結果からだけど、授業外学習の時間が学科・学部の平均よりとびぬけて長いことです。他には、授業内容が理解できたかっていう項目が平均と同じくらいか、やや高めかな。あと、私が個人的に行っている毎回の講義後の学生の感想では、授業の進み度合いについて、最初は「早いです」という声が多い。ただ、数回後には「予習をきちんとしたら意外とできる、ちょうどいい」と。授業アンケートでも適切と評価されている。
―予習がありきでって感じですね。 そう。

教科書を、くまなく読ませる工夫

 それをさせているのが予習プリントです。獣医学の教科書は基本的にコアカリキュラムに準拠していて、この教科書の内容がそれぞれの科目で重要なポイントを押さえてあり、国家試験にも出るし、重要だから学生はほぼ全員が買います。教科書の内容を覚えなくてはいけないんだけど、ただ読むだけでは覚えられないだろうから、毎回の授業のために間違い探し形式の予習プリントを作っています。予習プリントには、十数の文章が並んでいて、それぞれについて教科書を見ながら本当かどうか?〇か×をつけていく。

―基本的には教科書から間違い探しの文章をつくる、という感じですか。 間違い探しの文章は、教科書の本文中に出てくる文字を一部変えたりする。さらに、教科書だけでなく、重要な部分や最新の情報は、講義資料で解説も行うので、予習プリントと教科書だけではわからなかった部分が、講義を聴いているとわかるようになる。
 例えば、豚コレラ。その豚コレラはどういう病気か?基本的なことは教科書を探せば出てくるけど、教科書には書いてない詳細な話や時事的なこともプリントに書いておく。で、授業で該当するスライドが出てくると、学生が「このことか」って分かる。予め教科書を見ておいて、正解が分からないところは授業でちょっとやると、「あ!あれだ」って、授業のときに集中して聴いてくれる。

予習プリントの答え合わせ + 授業内容のミニテストを最後に

 授業の開始5分後には出席カードを全員に配って、授業の最後にミニテストをして、その時に出席カードに予習プリントの解答も合わせて書いてもらう。
 学生は授業をちゃんと聞いていれば、授業内で答え合わせできるわけです。

―結構ありますね(゜゜)! 授業の最後5分か10分ぐらい。大事なことは、試験ではないので、相談していい、と。そうすると、みんな最後の5分間で歩き回って、「〇×のこれは引っ掛けだよね」とか言いながら学生同士で話して、答えが合ってる時も逆に引っかかってるって言うのもあります。
―笑。歩き回っていいんですね。 そう。テストじゃなくて授業と、復習または予習を確実にしろと。
 で、次の授業の時は最初に、プリントの正解はこれでしたって、で、農工大は44人中○○人正解で、岩手は○○人正解だったと言う。
―答え合わせと、正答した人数もアナウンスされるんですね。 はい。それと、感想で書かれるのは眠くないっていうのと、ペースが速いっていう意見だけど、予習をやるとペースはちょうど良いと感想がある。


K先生の「授業百景」vol.1はここまで!
続いては、より具体的なスライドづくりや「獣医学」の原点についてなど詳しく教えていただきました。
K先生の「授業百景」vol.2はこちら

※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。