• このサイトについて
  • 先生大図鑑
  • 高校生からの質問におこたえします
  • アーカイブ
旧授業百景

授業の最後に小テスト、基本と最先端を混ぜ込んで vol.1

2020.08.12

第18回は五味高志先生の特集です!

五味先生の授業について学生からは、以下のような部分が授業の魅力として挙げられていました。

【リモートセンシング論】
〇とにかくテキストが充実している。授業も非常にわかりやすく、毎回の小テストによって復習ができ身についた。実践編では的確な指示がありがたかった。五味先生の授業はどれも素晴らしいと思います。

そんな五味先生の授業づくりの肝を聴いてきました!


(コーノ以下―)本日はどうぞよろしくお願い致します。
(五味先生以下スペース)どうぞよろしくお願いします。

五味高志(ごみ・たかし)先生
地域生態システム学科

―早速ですが、授業づくりはどのようにされていますか。 もうほとんど無意識でやっていますが、そうですね…まず10分間で前回の授業の振り返り、復習をしてちょっと総括します。それを受けて今日はこれをやりますと言って、その回の授業の話題に入っていきます。授業の最後には小テストの時間を10~15分とるので、講義の主たる時間は60~70分間となります。講義内容のトピックを大体2~3つに分け、一つにかける時間はなんとなく決まってきます。15コマ分の話題はシラバスにあり、流れができているので、その話題に関して具体的にどんなことを話そうかなというのを毎週考えます。時には、トピックが足りない!となるので、何でつなごうかな、と考えることもあります。最近のニュースなどから引っ張ってくるとか、前の授業の内容で触れなかった内容を補足的に話す、などしています。トピックは必要最低限教えないとダメっていう内容と、最先端のことや最近の話題を合わせるようにしています。
 それと、学生はシラバスを参考に授業を履修すると思いますが、授業で他にこういったトピックを知りたいという声が学生からあれば、関連する内容を授業に入れることもあります。

―スライド作りはどのように定まって行きましたか。 学会とかで有名な先生の発表を拝見して、いいなと思ったやり方を真似することはあります。最近の参考書では、『伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール』*が良かったです。

自分がその分野の専門家であるか?

―授業づくりで大変なことなどありますか。 授業づくりは「時間があれば」大変ではないと思いますが、最近は、時間がありません(笑)。
 授業づくりは自分のためということもあります。最初、農工大に赴任したての頃、教えるに当たり、自分も本当に理解しているのか?と思いました。その時は、時間をかけて準備をした方がいいと思いました。その頃は、比較的時間に余裕もあったので、時間をかけられました。
 リモートセンシング(以下、リモセン)の授業を実施するにあたり、自分がその専門家であるか?という疑問もありましたし、自分が何の専門家かってことは常に疑問でもあるんですけど(笑)。
 そこで、リモセンの講義を実施する上で、以前に札幌で仕事しているときに鍛えられたこととも関係しているのかと思いますが**、教室に来る学生に提供できるものを用意して、しっかり教えようと思い、時間をかけてテキストも作ろうと思いました。

 あとは、授業の進め方では板書を活用するようにしています。大学院の授業で、全部パワポで講義をしていた時期もありましたが、学生がまったく興味がなさそうな様子で、自分も楽しくないので、やめました(笑)。また、小テストなどで、進捗を確認できるような工夫をしています。 小テストのアイデアは、既にご退職されましたが、石川芳治先生***が実施していた手法を、進捗確認にはいいと思い、それに倣って実施しています。たぶん、石川先生は小テストをすぐ返却していたかと思いますが、私は何週分かためてしまいます(笑)。

自作の教科書は自分用でもあり…

―リモートセンシングの授業では、五味先生自作の教科書が配られますが、どういった経緯でつくろうと思われたのですか。 教科書は自分用でもあります(笑)。講義で自分が困らないように作ろうと思いました。教科書の内容として、このコンテンツは逃したくないといった部分を掲載しています。リモセンの授業でも、最初は毎回ハンドアウトで配っていたのですが、毎回印刷して配ることも手間ですし、15回分を綴じて教科書として、授業の初回に配ることとしました。一部、年によりアップデートする内容もあります。

リモートセンシング論のテキスト

 リモセンの授業では、地域生態システム学科3年生の多くが履修する授業でしたので、60~70人の受講生がいました。リモートセンシングは講義で学ぶことができる知識と、実際に各自のパソコンで人工衛星の画像を使い、解析する演習も大切です。そこで、学生ごとにパソコンの能力や進捗スピードも違い、「さてどうしたものか?」と思い、ある程度自習できるテキストさえ見ておけば、授業での聞き漏らしや、進捗が講義より進んでいても学べると思い、投入しました。実際、テキストを見ておけば、講義を受けなくても分かると思います(笑)。冊子にするためには、一冊1000円程度の経費が掛かりますが、大学の運営費でねん出しており、なかなか高価です。
 ただ、これを作っておくと、毎週授業のプリントを刷る手間がなく、小テストのみ印刷して持って行くだけですので、楽になりました。


五味高志先生の「授業百景」vol.1はここまで!
続いては、大学院での授業について詳しく教えていただきました。
vol.2はこちら


* 高橋佑磨・片山なつ『伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール』技術評論社
** 「先生ヒストリー」はこちら
*** 石川芳治先生…土砂災害防止、流域保全、砂防工学を専門とし、2003年に農工大へ赴任。砂防事業、砂防学の発展と教育研究にご尽力された。

※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。