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旧先生大図鑑

白木克繁先生

~理論の構築とプログラミングは”ものづくり”と同じ~

2021.01.05

第21回は地域生態システム学科の白木克繁先生にインタビューしました!

今回は、白木克繁先生の今に至るまでの経緯、研究への想いについて詳しく教えていただきました。


〈プロフィール〉
お名前 白木克繁先生
所属学科 農学部地域生態システム学科
研究室 山地保全学研究室(通称、砂防研究室)
趣味 休日は少年野球のコーチをしています。

身近な「なぞなぞ」から、より良い森林の管理へ

―水文学・砂防工学の道に進んだきっかけはなんだったのでしょうか。

 小さい頃は洪水などのニュースがよく流れていて、インタビューでは被災された方が「こんなに大変でした」という話をされていて、みんな必死なんだよね。「自然災害になんとか寄与するには」と考えたら、ここに来たという感じかね。

 それから、この分野はまだまだ探っていかないといけないことが多いです。例えば、どれくらいの雨が降ると、いつどこで、土砂災害が起こるのか、はまだ言えない。それらを手探りできる状態だから、なんとか頑張れば、一人でも被災する人を減らすことができるんじゃないかな、という淡い期待があります。

―白木先生の研究について教えてください。 

 白木先生の研究は結構シンプルで、意外と生活に密接しているものだね。だけど、良い森林を次の世代につなげることにも直結する研究です。

 研究内容は、例えば、雨が降ったときに、雨水が木の幹を伝うのだけども、雨水の一部が地面まで来なくて無くなるらしい。けれど、そのメカニズムもまだ良く分かっていないから、それを評価、測定したい。「なぞなぞ」がすごい身近にあるみたいな感じかな。

 それを調べるために、大学構内の木と子供用プールを用いて測定や解析をしています。

 この研究は、日本の人工林が手入れをされていないため荒廃している現状があるなかで、どういうふうに管理すると良い森林になるのか、というところに直結してきます。土砂災害に強い森にしたいというふうなところが一つのモチベーションかな。

 より良い森林管理のために探るべきことは様々あるんだけども、やっていることは非常に単純というか不可思議だね。木の周りになんで子供用プールがあるんだよというふうな笑

ものづくりの楽しさ!

―大学の木に巻いてある子ども用プール、私も気になっていました!色んな測器をご自身で作られていますが、何かこだわりはありますか?

 ものづくりが好きなんだよね。うちの父親が義足などを作る義肢装具士だったのよ。だから小さいころからトンカチの音とか、ものを作っているというのが身近にあったから、基本ものづくりが好きなんだよね。だから機械とか測器を作るというところは好きです。

 具体的に装置を作るだけじゃなくて、それを組み合わせて新しいことを導き出すというのも、ものづくりみたいな、作り上げていく楽しさがあるかな。それから新しい知識とか理論とかの構築というのも、ものづくりに近くて、そこが興味のストライクゾーンという形になっていると。

 それから、研究でプログラミングもやるのだけど、一つ一つ積み上げていってバグを取るということも、道具をつくってバリ取りして使えるようにしていく工程と似ていて、ものづくりに近い楽しみがあります。

 雨水が地面まで全部降ってこないという話や、山のどこが崩れるかという話は、測器を作って測ること、プログラミングをすること、ひとつずつ理論を積み上げていくこと、というものづくり的な楽しみがあるかな。

フラットにみること

―研究者として大切にされていることはありますか?

 観察する目かな。以前に「人工林に植えられている杉の幹の曲がり方を、斜面災害の予測に使えるのでは」と思っていたんだけど、しばらくして、それを忘れてしまっていたんだよね。山にしょっちゅう入っているはずなのに、しょっちゅう入りすぎていて、逆に忘れていたかなと思うので、そういう観察する力や、フラットな気持ちでみることの大切さを感じています。

 フレッシュな気持ちで毎回現場を見るということ、そして疑問に思ったことを忘れないこと。自分の研究は、現場に行って調査してということなので、大事かなと思います。

(白木先生が「この必死さを忘れないように」と、デスクの横に貼っているお子さんの写真)

―これから研究していきたい学生、高校生に大切にしてほしいことはありますか?

 いろいろ経験することかな。さっき「フラットに見る」という言葉を使ったけど、もうみんな意外といびつなんだよね。それで自分はいびつだって気づいてないから、例えば、海外行くとか、手っ取り早いかな。いままでの自分で思っていた常識っていうのは日本に生まれて、この教育制度だったから常識って思っているだけで、他の国に行ったら他の国の常識があって、それは微妙に違くて。その微妙に違うことが意外と大きくて。こういう考えがあるのか、とか気がついていなかったことに気がつけると思うので。

 色んな経験積んで、海外旅行でもいいし、海外に出てみて、ちょっとそこで色々見てみる、感じてみるということは大事かなと。「フラットで」ということが意外と難しくて、既に自分は染まっているんだな、という感じがわかるから、それがわかるだけでも大事かな。

 ピュアな心を持つためにも色んなものをみてもらったらいいかと思います。

 それから、これが楽しいぞと思えるものを見つける嗅覚。これだったら、この分野だったら自分は頑張れるぞというのが見つけられるといいのかな。やっぱり自分が何をやりたいのかということがわかると、職を決めるにも研究をするにも、強みになるんじゃないかなと思う。だから、思い込みとか捨てて色んなことを見て、経験してみて、この分野のこういうことが自分は一生懸命できるぞ、というところが見つけられると、それだけでもラッキーじゃないかなと思うので、ぜひ見つけてください。

白木先生の「先生大図鑑」はここまで!
白木先生の授業が気になる方は「
第二十二景 「水文学」~生活に密着した学問だから、感覚で分かる授業を~」も合わせてどうぞ!

先生大図鑑#22はいかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに!

文章:あだち
インタビュー:2020年10月5日

※インタビューは感染症に配慮して行っております。